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年金資産運用の基本的考え方

1.企業年金連合会が行う年金資産運用の目的

 企業年金を短期間でやめられた方の年金について、その原資を各年金基金や企業から引き継ぎ、将来にわたり確実に年金の支払が行えるよう、長期的に年金給付のために必要となる積立金を積み立てることを目的として資産運用に関する業務を行っています。

2.分散投資による効率性の高い運用の追求

 将来の年金給付を確実に行うためには、引き継いだ年金原資を金融商品などで運用して、年金債務を上回る年金資産を確保しなければなりません。しかし、必要な運用利回りを常に確保し続ける手段は、残念ながらありません。資産運用には絶対ということがないからです。常にリスクと隣り合わせです。
  運用利回りは一定ではなく、振れを伴います。この振れが、資産運用のリスクです。高い運用利回りが期待できる運用商品は、それに見合った比較的大きなリスクを伴います。損失を避けるため、振れの小さいリスクの低い運用商品に投資した場合は、それなりに低い運用利回りになってしまいます。リスクが低くて運用利回りが高いという都合の良い話はありません。
  それでは、安全な運用のためリスクを落として低い運用利回りでいいのでしょうか。車の運転で、ゆっくり走ればゆっくり走るほど安全運転かといえば、そうではありません。制限速度よりあまりにも遅いと、かえって危険な場合もあります。年金資産運用も同じで、リスクを低くすれば良い運用ということにはなりません。運用利回りが低すぎては、将来必要となる年金資産を確保できないことにもなり、逆に年金財政が不安定になってしまいます。将来必要な年金資産を確保するためには、ある程度リスクをとって必要な運用利回りを目指していかなければなりません。
  年金資産の運用は、目的達成のため、適切なリスクの下で、できる限り高い収益を獲得する効率性の高い運用を行うことが重要です。そのためのキーワードは「分散」です。運用対象となる資産、銘柄、手法、スタイル、運用者、投資タイミング、投資期間など、できる限りの分散を心掛けます。分散こそリスクを低減させることのできる、我々にとっての強い味方です。
  連合会では、分散投資を資産運用の基本原則として、効率性の高い運用の追求を行っています。

3.投資プロセス

 連合会の投資プロセスは、以下のようなPlan(計画)−Do(運用)−See(評価)のサイクルの中で、絶えず確認と評価を行い、必要に応じて変更しながら、更なる効率的な運用を目指して改善を行っています。

投資プロセスの図

(1)年金資産運用の基本方針

 連合会では、運用の基本方針を策定し、その基本方針に基づいて一貫した資産運用を行っています。運用の基本方針では、運用の目的・目標、政策アセットミックス、運用機関の選定・評価の方法と遵守事項、自家運用に関する事項などについて定めています。

(2)政策アセットミックス

 投資対象となる資産の組合わせである資産構成割合は、年金資産運用において非常に重要な投資政策で、政策として定めた資産構成割合を政策アセットミックスといいます。
連合会では、定量的な分析と定性的な判断に基づき、政策アセットミックスを決定しています。
  政策アセットミックスは、前提となる諸条件に変更が生じた場合は、見直しが必要となります。しかし、各資産のリターンの期待値を短期間で見直すのは好ましくありません。長期運用を旨とする年金資産運用においては、不確かな短期の市場予測に賭けるのではなく、長期的な観点からの本源的価値に対して投資すべきだと考えています。したがって短期的な市場予測により政策アセットミックスを変更することはありませんが、市場変動により年金資産額が変動し年金債務額に対する割合(これを積立水準という)が変化した場合は、その水準に応じた適切なリスクを管理するため、政策アセットミックスを変更します。
具体的な政策アセットミックスは下表のとおりとなっています。

積立水準 内外債券 内外株式
100%未満 60% 40%
100%以上105%未満 65% 35%
105%以上110%未満 70% 30%
110%以上115%未満 75% 25%
115%以上 80% 20%
  • 注記1:上記の構成割合は基準値で、乖離許容範囲は±5%としています。
  • 注記2:外貨建資産に係わる為替リスクは、ポートフォリオ全体の30%(代行債務の外貨部分を除くネット外貨エクスポージャー・ベース)を許容範囲 としています。

政策アセットミックスについて、さらに詳しくお知りになりたい場合は、こちらをご覧ください。

(3)リバランス

 実際の資産構成割合は、市場の変動により、放っておくと政策アセットミックスの比率と乖離してしまいます。これを放置すると、意図せざるリスクを取ることになってしまいます。そこで、乖離を縮小させるための調整を行うことが必要となります。これをリバランスといいます。リバランスは、主に以下の2つの方法によって行います。

  • [1]キャッシュフローの配分によるリバランス
      連合会では、短期間で企業年金をやめられた方の年金原資を受け取り、年金受給年齢に達した方には年金を支払っています。このように、定期的に資金の流出入が発生します(キャッシュフロー)。このキャッシュフローが発生する都度、資金の流入の場合は、下方乖離している資産に配分し、資金の流出の場合は、上方乖離している資産から支払うことで、リバランスを行います。
  • [2]許容範囲を超えた場合のリバランス
      市場の変動により、乖離幅が許容範囲を超えた場合、上方乖離している資産を売却し、下方乖離している資産に配分する調整を行います。この場合は、資産売却によるコストも考慮する必要があります。リバランスにかかるコストと乖離によるリスクを比較考量しながらリバランスを行います。許容範囲は、運用の基本方針で定める許容幅よりも実際には狭い範囲で調整しています。

なお、許容範囲を超えていない場合でも、売買による金融市場への影響も含めコストに配慮したうえで、リスク管理の観点からリバランスを行うこともあります。

(4)政策アセットミックスの検証と見直し

 政策アセットミックスは、運用の基本方針において積立水準に応じた基準値と乖離許容幅が定められていますが、年金債務の構造変化、将来キャッシュフローや長期的な各資産の期待リターンなど、前提となる諸条件が変化した場合は、必要に応じて見直しを行います。
また、これらの変化が起きていないかどうか、定期的に検証を行っています。

(5)マネジャー・ストラクチャーの構築

 マネジャー・ストラクチャーは、投資対象資産ごとに運用スタイルや手法をどのように組合わせて運用するかを決定することです。そして、それぞれの運用スタイルや運用手法に応じて運用者(マネジャー)を決定します。運用を実行するのは各マネジャーですので、最終的にはマネジャーの最適な組合わせを構築することになります。

(6)マネジャーの選定・変更

 投資対象資産ごとに、運用スタイルや手法に応じて、最も適切なマネジャーを選択します。そのために、運用機関についての情報を広く調査し、継続的かつ効率的にマネジャーの評価を行うことを目的として、マネジャー・エントリー制度を導入しています。これにより、契約していない運用機関からも定期的に運用データの提供を受け、常に運用状況を把握し、評価することができるようになっています。

  • [1]マネジャーの評価
      各マネジャーについては、契約先の運用機関はもちろんのこと、契約のない運用機関についてもマネジャー・エントリー制度を活用して、継続的に運用状況のモニタリングを行っています。運用結果(パフォーマンス)のみならず、定性面での評価を行い、運用方針に沿った運用が行われているかどうか、運用哲学や運用手法、運用体制等に変更が無いかどうか、変更があった場合にはそれが運用能力の向上に資するかどうか、など総合的な評価を行っています。
  • [2]マネジャーの見直し
      総合的な評価に基づき、必要に応じてマネジャーの変更を行います。本来の運用能力を評価するため、できるだけ長期の運用状況について評価し、将来に向けての確信度に応じて見直しを行います。
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